魔笛 AT 新国立劇場

魔笛 AT 新国立劇場
公式サイトはここ
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000613_opera.html
うーん、こじんまりした公演ですが
魔笛は良い作品だなあ、というのを実感できました。
前回も同じようなこと書いたと思いますが
なんと言うのか
いままで「魔笛」に対するイメージが
がらりと変わったことは事実で、
そのことが今回の最大の収穫なんだと思います。ですから、あまりに個人的な収
穫なわけで感想でもなんでもないと思います。
それは
後半のパパゲーノたちの「愛」に
一般人の行動を描写していて
それが成就することで
一般市民の愛を謳うとともに
良く言われるところのフリーメーソンとしてのザラストロ教団、笑
の集団としての規範の確立
みたいな、集団的な行動、統一をもそのあとにつづいて
音楽で表現するところが
なんとも言えなくスピーディーなものに感じて仕方なかったのです。
本当に
モーツァルトワーグナーでは対極なのかもしれませんが
ワーグナーの作風は、この辺のあるのではないかなあ、と個人的に思えました。
昨今、たまたまワーグナーの作品を観る機会が多かったために感じたことかもし
れませんが
この集団的な表現を音楽で作る際のダイナミックさは
震えるほどの感動を呼びます。
さらに
モーツァルトって
若干「レクイエム」をこの作品に投影したのではないだろうか?と感じたのです。
本当に勝手な意見なのですが
まずは荒唐無稽な設定でオブラートして
その次に恋愛でオブラートして
さらに
階級の違う恋愛を表現して
最終的に
モーツァルト自身が行きついたところを表現したのではないでしょうか?
それは団体に属することでもあるし
その先に、団体に依存しない時の人間の孤独を表現したのではないでしょうか?
ザラストロ教団に依存することは簡単で、共感もしたでしょうが
どうも行き詰まり感を感じるのです。
あの壮大なフィナーレをしてそう感じたのですから、私がおかしいのか、わかり
ませんが、あれ以上のものはない、という感じがすごく心に中に残るのです。1
だからそう感じた、ということで
今回の「魔笛」は私には有意義でした。
最後に、ザラストロの松井さん素晴らしかったし、すべて、17日よりも良かっ
た。オールジャパンでこれだけぶれると考えさせられるものはあります。
ロッシー二が「フィガロ」を受けたように
魔笛」のあとはワーグナーなどがその作品を受けているのではないでしょうか
ねえ。