隅田川二題、AT KAAT

隅田川二題、AT KAAT
公式サイトはここ
http://www.kaat.jp/pf/sumidagawa.html
目的は
昨年の新国立劇場での「ピーターグライムス」での公演が良かったからです。
ブリテンという作曲家を軽視していた自分に気がついたからです。
しかし
今回の公演は
「隅田川二題」とあるように
能楽の「隅田川」を
ブリテンのオペラからと
日本舞踊の方からとらえたという趣向です。
さてと
感想の前に
オペラの上演中、客席にお客様を誘導しているのです。それも何人も。
さすがに終わって、係員に聞いたところ
「演出家の意向」とのこと。どんな意向があるのかわかりませんが
演奏が始まったら静寂さを維持するのが劇場係員の役目ではないでしょうか?
おまけに、誘導の後戻る時の足音がこれまた大きい。床が木で出来ているので
音の出ない靴を履かないと音が出ます。
さらには
せっかくのソリストたちに
何もさせないで
ギリシャの芝居のように合唱隊、ないしは語り部として
ソリストまで扱い、中央では踊りが披露されます。
これは神の声のような踊りならまだしも
演目は
「隅田川」ゆかりの「カリューリバー」です。中央の踊り手は何を意味している
のでしょうか?
すべてが冗談でしょう?という内容でした。
また、ピーターグライムスで耳に心地よかった英語でのオペラも
ここでは、若杉さんの翻訳の日本語での上演です。
ここまですべて事前の期待を裏切られた公演も珍しいのではないかと
思うほどに
嫌になりました。
しかしブリテンの音のつけ方は、意外とここでも効果的で
これが演奏の良しあしは予習不足で判断できないのですが、ある程度
日本でこの能楽の演目に触れて、それにインスパイアされて作ったにしては素晴
らしいものでした。
通常のオペラ形式で日本人キャストでも良いから演じさせたらどんなふうになっ
たでしょうかねえ。それが見てみたい。
しかし、能楽の見所でブリテンが経験した能楽の楽器の少なさは
オペラを通じて活かされており、西洋版としてとらえても十分聴きごたえがある
と思います。
最後にかけて
少年の声が聞こえてくるところにかぶさるように鐘の音が聞こえてくる様子は
素晴らしいなあ、と思った次第です。
しかし、ピーターグライムスを体験していない、同行者は「なんてつまらない」
という意見でしたが。。。。汗
私はあのオペラでブリテンの音楽的方向がわかった気がしましたから、今回も
「そうだよなあ」と思いながら聞いておりましたが。。。
しかしちょっと雰囲気が
「沈黙」のように、オペラのはじめと最後に「十字架」が出てくるのは
さすがに勘弁してほしいと思った次第です。
はっきり言うと
後半の
日本舞踊の「清元 隅田川」とともに
あるところのパーフォーマンス的イベントになり下がったな、というのが実感で
す。
ということは
後半の感想はない。
そして、すべての演出家は
この日本舞踊の方です。
すごくなぞが解けました。
謎ときという意味では稀有な体験でしたが
さすがにKAAT,こんなに近いのに観たい演目はなし。
たまに観たいと思っても
こうして裏切られる。だから東京まで出かけるのです。
逆に昨年のウィーンスターツオパ―の「フィガロの結婚」はとてもうれしかった。
県民ホールのみでしか体験できないオペラでした。
そういうイベントがないと
横浜には人は来ないと思った次第です。