ドニゼッティ:「ルチア」  AT 新国立劇場

ドニゼッティ:「ルチア」  AT 新国立劇場
公式サイトはここ
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/9_007959.html

前回このオペラはMETの来日公演。ダムラウで2回、テノールが違う形で観ました。
それ以来です。
とにかくオペラの傑作の一つだと思います。
そして7月の藤原歌劇団「ノルマ」につながる公演だと思います。

まずは新国立劇場の宝物の演目、演出が一つ増えたと思いました。
しかし、この演出もモンテカルロとの共同制作なので
次はいつなんでしょう?
「ルサルカ」も気に入っているのですが
時間たっても再演されないですから。
あと
プロジェクションマッピングスコットランドの暗い荒波が表現されておりました。
波の音もPAから出ており、少しオペラも変わってきているな、というのを実感しました。
今回の収穫はすべてでしょうかね。
指揮者のビザンティ
の派手な指揮ぶりも私は好きですね。すごかったですもんね。すごい大曲を指揮しているかのごとく。
ただ、オーケストラの音はその指揮にはついてきていなかったと思う。そこそこの音でした。
さてと
ルチア役のペレチャッコ=マリオッティという人はすごかった。演技も気合入っていたし
オーラがすごかった。さらに2部1幕で舞台上、下着にされても見栄えする体形でした。
これ次に日本人ソプラノが主役の時、同じようにできるでしょうかね?
特別に期待していなかっただけに、すごくいい意味で
期待を裏切られた感じです。素晴らしい。
あと
エンリーコ役のルチンスキーもオーラがあり、かつ、歌唱もよかったです。
エドガルド役のジョルディはそこそこかな。見た目がそんなに醜くないので恋愛ものの主役の男子としては
合格かな。
もっと高音が伸びなければね。
また、すごいのは
アリーサ役の小林由佳さん。かなりルチアと張り合っておりました。
いい意味で見どころだったと思います。

舞台の作りとすると
2部の邸宅内の応接間の作りはきれいでした。ああいうオーソドックスなつくりの舞台がやはり落ち着くと思う。

数年前、ショッピングセンターでキューピーみたいなのがいた舞台装置があったけど
その感じとは逆の、説得力のある堂々と正面から物語にぶつかっている舞台装置だと思いました。
千秋楽でなければもう一度は観たかった舞台ですよ。

最後に照明も工夫されていて
太陽も雲に隠れながらも
だんだん力を増して照らしていたり、楽しめる作りこみがあるオペラの公演でした。
会場は
一応、一杯になったかという程度。
あまり有名ではないオペラだから仕方ないですかね。
この出来で千秋楽、
評判は立たなかったんですねえ。
しかしとても良い公演でした。