アトリエ・ダンカン プロデュース 「教授」~流行歌の時代とある教授の人生~ 

アトリエ・ダンカン プロデュース 「教授」~流行歌の時代とある教授の人生~ 
 AT シアターコクーン
公式サイトはここ
http://www.duncan.co.jp/web/stage/professor/index.html
演出は、昔よく早稲田まで芝居を観に行った人です。
たしか、大早稲田巧社とか言う名前だったはず。
まあ昔話は置いておいて
俳優も、映画の世界では気にいった映画に出ている人が揃っております。
しかし話の内容は、まさに大隈講堂裏で観ている錯覚に陥りました。
淡々としていて、それで昭和歌謡が絡んできても
今一つ盛り上がりはないというのが実感です。
大学の教師連中がくだを巻いている姿はすごく楽しいものでしたが。。。
いま、構造主義なんて言ってもわかる人いないと思います。かといって
ここに出てくる先生みたいに
いまだに実存主義を追っていると楽しいかもなあ、とも思いました。
話は簡単に
昭和歌謡、昭和という時代は
戦争も60と70年の安保、高度成長と色々あった時代でしたから
その時代を反映する歌も多いと思います。それをうまく、カタルシスとしてとり
合わせた点は面白いと思います。中村さんの実演もそれなりに良かったし、
アフタートークならぬミニライブも新しい趣向なんだろうなあ、と思いました。
この歌謡曲のカタルシス効果を使いながら大衆の精神状態の浄化効果を示しなが
らも
人において、集団的自己というべき、集団の中で生きていくことは何かに寄生す
ること
寄生を許すこと、という観点で、今はやりの(まさに流行歌)寄生虫を扱うなん
て点はうまいよねえ、と思いました。
田中麗奈椎名桔平さんのラストシーンは良かったねえ。これがすべてなんだろ
うなあ。
なんだかんだ言っても
愛は勝つ」ということですね。
人間として生まれたら、愛情という感情は持った方が良いということですよ。
まあ厚生省のキャリアってその比較なんだろうなあ、と思う。平凡とは違う
田中麗奈椎名桔平の二人の愛と。
この最後に至って会場がぐっときた様子が手をとるように分かりました。
劇中歌では井上陽水さんの「傘がない」がぞっとする怖さで私の中に迫ってきま
した。基本的にアンチシンガーソングライターの世界だと思うんですが。歌謡曲
イコール一般大衆ですよね。その時代ですよ。個性が広がる今に、このドラマは
「愛」以外の説得性はない。そんな印象を持ちました。