マノンレスコー  AT 新国立劇場(続き)

マノンレスコー  AT 新国立劇場(続き)

感想に戻ると
あと歌手なのか、合唱なのか不明ですが
1幕目のカンタンテ
3幕目の女囚たちの登場なんて
ローリングストーンズの「ミス・ユー」とか「ホンキー・トンク・ウイメン」の
ライブのようでした。すごく決まっておりましたよ。ここはブラヴォーだなあ。
そしてルアーブルの港の岸壁に
女性合唱隊が黒マントに身を包み
大衆をイメージされておりその間を
アメリカへの船が出航する。きれいな舞台でしたねえ。
また言いますけど
私は個人的には、上で書いたように、舞台の進行過程では「この世」と隔離した印象を受けたので
「あの世」での話にしたいのか、と思ったもんですけどね。(アメリカってまさに、あっちの世界という時代だったし、これも冗談)
しかし、白の時代の終わりとして
3幕目で印象は変わりました。
「白」の印象が強いときはなぜか私の中で強迫観念的に「モーツァルト」のオペラ(「フィガロの結婚」)の感じがしたので
モーツァルトって自分の中では神の音楽なのかな、と思ったりしたもんです。(あの世とモーツァルトの比喩の掛け合わせからですけど)

最後に

マノンと言えば
魅力的な女性の象徴ですが
今回のヴァッシレヴァは最高位のヒロインでした。
また、マスネのオペラもあるにもかかわらず
プッチーニに作らせた魅力のある女ですからね。

デグリューもまあ良し。
二人の2幕、4幕の愛のシーンなんか
すごくグッときました。何か感情移入ができる感じがしてすごく愛の世界に浸れました。
なんというか舞台全体が、エロス的に濡れていたという感じでしょうかねえ。「ぐっと」惹きつけられましたよ。
まあ、彼にダメ出しするならば
オーケストラの演奏がとても良いのでもっと高音が伸びてほしかったということか。

また東京交響楽団ですが、これがまた良い。

指揮者のモランディがすごくいい音をひき出していました。

なんというか
すごく心地の良い世界でしたよ。劇場でオペラを見ているという行為が最高の時間でした。
その中で
愛が繰り広げられるという
すごく愛の物語になっている。
個人的には
溜息。もうたまりません、という舞台になっていると思いました。
バレエでいうところの「沼地のPDD」のあたり(ニューオリンズの郊外の荒野という場面)の二人は最高で
思わずもらい泣きしてしまいました。
珍しいことだ、と自分でも思いましたけどね。

追加:
今回の公演のポスター、チラシって
今回のメンバーです。というのは
震災で中止になった公演のゲネプロに近いときに撮った写真があるのです。
それは、忘れてはならない震災の悲劇を思い出さなければならないということでしょう。
また、地震を経験してもなお、集まったメンバーに乾杯。だから今回の真剣さにつながったと思う。
奇跡の公演なんでしょう。それも3月。ここまでするかな?と思いますけどね。