さまよえるオランダ人(追加) AT 新国立劇場

さまよえるオランダ人(追加) AT 新国立劇場
公式サイトはここ
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/150118_003714.html
PA問題について
まずはPA今回も使われております。
それも前回よりも大きいかもしれないと思う。4階はPAダイレクトにかかると思うので
音が大きく、かつ、体に迫ってくる感じがあるのではないでしょうか?これは
経験していないので何とも言えないですけど。
嵐の音も効果音としてPAを通して出てくるので合唱隊の声をPAから流すときは
かなりの覚悟が必要ではないでしょうか

歌手について
ラファウ・シヴェク(ダーラント)はとても安定しておりました。一番いい感じではなかったでしょうか。
次に
リカルダ・メルベート(ゼンダ)は「ローエングリン」で確認済みですが、すこし低音気味ですけど演技もよく(ゼンダの雰囲気でておりました、体型が違うとはいえるかなあ
)声もいい感じで出ておりました。
トーマス・ヨハネス・マイヤー(オランダ人)もゼンダとのやり取りとか3重唱の時などは役に入り込んでおりました。
このゼンダとのやり取りが今回とても良かった。
ダニエル・キルヒ(エリック)はそこそこ。しかし彼も、芝居もできておりました。でも彼の衣装ダサいな。(これは衣装の問題ですけど)
日本人キャストは無難なところ。

演出に関して
今回は舞台監督が村田さんという方ですが、彼が詳細をつめたのでしょうか?それとも演出補がいないので演出助手がやったのかわかりません。
まさかシュテークマンが来たのかな?わかりませんが、船員として男声合唱隊が出てくるとこと、
また後半、ゼンダとともに陸で待っている女性たちが出てくるシーンにおいて、女声合唱隊とゼンダの登場シーンが
微動だにしない静止でレール上をうごく移動舞台の上に乗って出てくるのがすごくきれいでした。これは今回の演出調整の効果ですね。
これにより、シーンの転換がきれいなんですよ。あとはゼンダが妄想的にオランダ人たる男を待っているシーンのゼンダの動きも
より良かった。歌手のせいなのか、今回の演出の調整が決まっていたのかわかりませんが、このように微調整されているので
少しはよくなっていたと思います。

音楽について
日本人の性格上、音の出だしの金管少しぶれるのは仕方ないのかもしれません。
緊張しますもんね。
しかし、指揮台の上の飯守監督の指揮ぶりにオーケストラがだんだんついていくさまが手に取るようにわかりました。
弦の女性たち(なぜか女性が多いですね、東京交響楽団)自信に満ち溢れて演奏しておりました。だからたまらない演奏になる。
いやーー、鍛えられましたね。
まあ今まではゲスト指揮者として指揮する場合はあっても、今回は芸術監督として飯守さんと演奏するわけですから、
おのずと気合も違うと思うし、遺憾なく、オーケストラに注文していたと思います。その成果は出てきている。
次に、東京フィルと「ラインの黄金」「ローエングリン」ですが同じようにお願いいたします。同じ飯守指揮でも新国立劇場
パルジファル」の時、以前の二期会の読売との演奏の方が良かった気がしましたから。

合唱団について
言わずと知れた、一番の目玉なんでしょうけど、
仮面を被ったり、アニメに出てくるようなキャラの衣装を着たり、群衆シーンもまとまりが良かったり、かなり大変なシーンもこなしてきているのですが
これらの経験が、舞台に花を咲かせております。
今回もどちらもよかった。
ゼンダとともに歌う女性たち。
船員の男性たち。
たまらなかった。聞きごたえがあったなあ。

さらには
2幕から3幕へのつながりはたまらない。今回はゼンダの愛の強さがよりでていて、その悲劇をより際立たせているし、
その悲劇に向かう音楽もすごくあおる演奏でした。
当然のことですが
オーケストラ、合唱隊、ソリスト、すべてが指揮者のキューを見ていて、制御されていたので思うようにできたのではないでしょうか?
また、この相互反応において、演奏、歌う当事者たちがその出来栄えに驚いているのではないでしょうか?
そんな満足感が舞台からもオケピからも客席からも伝わりました。良い舞台だった。満足