奇々怪々~老ノ坂のもののけ達~ AT 六行会ホール

奇々怪々~老ノ坂のもののけ達~  AT 六行会ホール
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まあ、もののけ達って何者なんでしょうね?各時代に
あったであろう、事件、ないしは出来事における未練のあるものたち
という感じで良いでしょうか。
まあそんな感じでとらえておくと
このもののけたちと同じく
この舞台の時代にも事件が、いやちょっとした出来事が生じました。
結局
そのような、事件の起こりやすい場所だということです。
出会いも別れもそこを通過することで生じる
そんな場所です。
人の思いが一段と高まるから、その思いも断ち切ることができない。
そんな場所から話は始まる。
実際に
この芝居の始まりも
スクリーンのような投射を舞台に生じて
すごくダイナミックな展開で始まります。
この舞台のアクション効果を出させる手法を今回は用いているみたいで
それなりに効果はありました。しかし物語がオーソドックスなので
そんな必要(奇をてらう)ことはないと思いましたが。
そんなことはさておき、
話は、登場人物が
すべて偶然のようで
最終的に必然の出会いになるように仕組まれており、
そのストーリーの落とし所が
すごく良い話になっており、「勧善懲悪」形の時代劇になっております。
ひさしぶりに
素直なストレートな物語を観たというのが素直な感想です。
ここまで素直な話ですと観終わった後も気持ちがすがすがしい。
何か今の時代は素直な感情を、素直に表現できなくって少し屈折しているような
感じがするのでとても逆に新鮮でした。
そして終わりにかけて、すべてめでたし、めでたし、となっていく様は
途中から加速度的に心をわしづかみにされたようで
舞台に一気に集中させられました。
あと、この芝居を通じて感じたのは
庶民感覚。この庶民感覚で普通に素直に生きようよ、という感じのメッセージが
ふんだんに盛り込まれて背伸びしないで
真実、素直に生きる、ということを再確認させられた気もします。
この庶民感覚は人に対して背伸びをしない、そこで他人と真の姿でぶつかるとい
うようなことを言っていると思ってください。この背伸びをしないと相手も同じ
く背伸びをしない姿をだす、そこで出あいも生まれると言うことです。
この出会いが、この芝居でほとんどを占めていた疑心暗鬼をぬぐい去ります。
そこがとても良い。
またお上の粋な計らいもあり、すごく後味の良いものになっております。後日こ
うなるだろうなあ?ということまでも想像させてくれました。
また、芝居の進行上のダイナミズムとして殺陣もあり、そこはかなりかっこ良かっ
た。
この殺陣のシーンを契機に「愛」の高まりの部分が進行するのですが
BGMは管弦を中心にした、心情を表すような曲。ここは現代風なんでしょう。
もしかしてここでバイオリンを使った曲に違和感を覚えないほどまでになったの
かもしれません。私はすごく違和感があったのですが最後にはこれで良かった曲
の選択なんだと思うに至りました。
この弦の音楽の高まりとともに劇は終わるのです。
そこからカーテンコールなんですが
そこがまた良かった。芝居畑の人のセンスはこんな感じなんだよなあ、と思うよ
うな
決めのポーズ。
それは
いままでの出来事は
資料館に飾ってあった人形が動いただけなんですよ、と言わんばかりの。
そう時代劇なんです。
ということで終わりよければすべてよし。
良かったです。