芝居「黒白珠」 AT シアターコクーン

芝居「黒白珠」 AT シアターコクーン
公式サイトはここ
https://kokubyakuju2019.wixsite.com/official

作家の青木豪さんは、知り合いがお世話になった方で、少し
興味をもって見ております。
今回は、自分の出身の肯定的な結末というか
人は、自分の所与の環境の中で
すごく努力をして
お互い、いろいろな軋轢はありながらも
想いあっている、というようなテーマだと思うんです。

実際はそれは表層に出てこない部分が多いのですが
根底にはこのような人間の性善説が流れていると思うんです。

その表現を
一つの事件の本当の流れの解明という形で
少し、原因追求的な要素を大きな命題として
表に出しながらも
実はそこにはみんながお互いに思いやり、お互いの存在を忘れない
という人間の良さを示していると思うんです。

だから平凡なようで
そこには坦々として人間謳歌のテーマが流れている。

ちょっと見では
今回の俳優では
もっとド派手な芝居も十分に提示することができる。
それは観客もわかっているし、それに応えるのが一番簡単なことでしょう。
しかし、
それを一歩引いて、
落ち着いて考えようよ、と言っている気がしてならない。

故郷、家族、それは
生まれたからには自分のバックボーンとなり、生涯切り離すことができない。
さらに、夫婦も
結ばれた時の愛の気持ちは
どんな時も忘れはしない。

こんな肯定的な気持ちをすごく感じました。

ストーリー展開も
坦々飄々としている分、このテーマについて
意外と隠している気がする。

そういまさら、こんなことを前面に出しても
わざとらしい芝居になる。それを分かったうえで
隠喩的な表現に止めた、と言ってもいい。


私たちは、誰でもいい、登場人物のの感情を理解して
その動きで、何かを感じ取ることで十分でないだろうか?

全ての人にすべての登場人物の気持ちなんてわからない、
それがスタートなのかもしれない。

何かを感じたなら、いま私たちは、その感じ方において
自分の今を理解できたのだろう、

こんなメッセージを感じました。

難しいけど、普遍的なテーマです。