内田光子さん AT サントリーホール

内田光子さん AT サントリーホール
公式サイトはここ
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20131103_M_3.html
ドイツ音楽特集パートという感じのくくりでしょうか。
とにかく
来てくれているうちに観ておかなければと言うここ数年の
サービスぶりです。
結果的にも
もう二度とクリーブランドとの
モーツァルトの弾き振りなんてないんだろうなあ、と思います。
しかし、昨日一番感じたのは
「前向きな気持ち」でした。
さらには
後半のシューベルトの際、皇后が着席され、
皇后に対する彼女の挨拶も
旧知の人が方や皇族に
方や、世界的ピアニストに初志貫徹されて演奏会に挑む様子が
ドラマチックでした。無言の会話って
あるんだなあ、素晴らしいドラマを目の前で観た思いでした。
先ほど書いた、「前向きな気持ち」というのは
演奏会終始一貫していて
なんというのか、なにも言わなくても良い、なにも考えなくても良い
これが私の演奏、というような無言のオーラがすごかったという感じで考えてく
ださい。とにかく、人間の成長とは、謙虚さとは、いろいろなものが存在すべて
に入り込んでいる名演でした。
ちょっと違うか・と思った、ところもありますが、そんな考えは次の瞬間消えま
すね。これが演奏会なんでしょうねえ。

モーツァルト: ピアノ・ソナタ ヘ長調 K332
モーツァルトはこの日のみということで聞く方もすごく丁寧聞いていたし、演奏
は安定しておりました。

モーツァルトアダージョ ロ短調 K540
この曲も、間がすごくあり、その間においていろいろなことが自分の心の中に浮
かび上がってきては消えていく、そんな体験でした。自分の気持ちが浮かび上がっ
ても
モーツァルトの音楽はそれを否定します。

シューマン: ピアノ・ソナタ第2番 ト短調 op. 22

今年の目玉なんでしょう。2回とも演奏しますし。
しかしきつかった。音の迫力に圧倒されてしまいました。
このあとに聞いた、シューベルトがすごく優しい音楽に聞こえましたから。
あのシューベルトがですよ。
シューマンについては内田さんの演奏から色々と学ばせていただこうと思った次
第です。

シューベルト: ピアノ・ソナタ ト長調 D894
この曲は良いですよねえ。いやーーーとても良い演奏でした。
特に終盤にかけて
音が隆起してくるような抑揚が効いていて全体としてみると
すごくバランスがよい出来栄えだったのではないでしょうか?
瞬間瞬間の音ではなく
全体のバランスです。そしてそれがシューベルトなんでしょう。
この名曲をあのまとめ方はすごくきれいです。吸い込まれていく気がします。

アンコール、
バッハやるんだ、と思っていて、これ弦のための曲ではなかったかなあ、なんて
感じで聞いていたら
あとで
フランス組曲第5番 ト長調 BWV816 からサラバンド 、でした。

アンコールって珍しくないか、と思ったのですが私の記憶違いかもしれません。
ということで
後味の良い演奏会でした。最後の会場での拍手と言ったらすさまじいものがあり
ました。