新国立劇場 「パルジファル」

新国立劇場 「パルジファル
特設サイトはここ
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/parsifal/
演出、私は好みではないでですが、
たぶん、このオペラの演出でやりたいことを温めていて、それを実現したんだろうな?というのが正直な感想です。
まあそれが好きかどうかは、各自の判断や好みであり、
そこそこ万人に受け入れられる内容にはなっていたのではないでしょうか。
私が嫌いな点は
少し近未来的抽象性があるという点。
私はトラディショナルなものをどう扱うか?が今求められている
演出技術のような気がしますので
どうしても近未来的なものは好きではないのです。
しかし
良さは褒めないといけないと思います。
それはダイナミズムだと思います。
演出におけるダイナミズム、時間の超越。
女性コーラスの天上の響き。天の声。
そして
過去から未来に続く
道、流れなのでしょうか、
舞台上に流れる川のような道は
いろいろなものの表現だと思いました。
時には冷たい現実(登場人物が建ち続けるべき道)。
時には過去から未来につながるときの移ろい。
そして、生命の生まれる子宮と水。
その水の中に
そそり立つ、熱情が注がれるとき、愛が生まれます。
さらには
地球上の各民族の顔さえ流れます。
ここに、愛は普遍、
そして民族の区別なし、
というようなメッセージが込められている気はしました。この概念の王国が出来上がるのです。
それが今回のパルジファル
きわめてオーソドックスです。
その中でも、オーケストラの低音はきわめて目立ち、ドラマを盛り上げ、
流れるような天上への高音に先ほど述べた女性コーラスがきれいに入っておりました。
男性コーラスはいつものキレがなかったのですが、二期会新国立劇場の混成チームだからでしょうか?
よくわかりません。
オーケストラの音は
全体的に
すごく枯れているというか、淡々としていて、ドラマ進行の背景というか
モチーフ提示に徹していたと思います。ですから
そこに感動がなくてもワーグナーの指示通りという感じでした。
そういえば
冒頭に近未来的と申しあげましたが
もしかすると、簡素な舞台装置ですべてを語るという表現に言いかえるべきかもしれません。
もう少し、こてこてした
呪術的な要素がほしいオペラなのです。個人的にですけど。
やはり舞台装置が変わらず、そこに流れる、なにかが、
照明というか、映像で変るという表現ですと
安易さを感じる。
よく、道教に「道」タオというのがありますが、それで説明できるといえばできるのですが。。。
それを狙っているならば、成功したでしょう。


また各ソリストたちの熱演は評価しないわけにはいかないでしょう。

クンドリーのヘルリツィウスはよかった。
はっきり、3日目終わって残り完売していないということは
そういう評判なんでしょう。「ローエングリン」は逆に初めの2日間空いておりましたが最後完売を急にしましたからね。
その差は大きい。
あと、私は意外と冷たい意見を書いているようですが、気にいる部分と共鳴する部分は多くあり、評価したいのですが休憩時間
私以上にきつい意見を、ないしは理解不足の立ち話が耳に入りました。残念