スターダンサーズバレエ団 AT 県民ホール

スターダンサーズバレエ団 AT 県民ホール
公演情報はここ
https://www.sdballet.com/performances/2209_dancespeaks/

良く上演をされる演目ですが、私個人的に
コロナの時代、最後にバレエ公演に出かけたのは
「アリーナコジョカルのドリームチーム」でかつ彼女はけがで
来ただけの公演でしたので、久しぶりのバレエ公演です。

さてとこの2演目、私個人的にはどちらも初見なので
新鮮な気持ちで臨めました。

バランシンの方は
ウェスタンということと、音楽がフォークロアということで
アメリカの西部劇の主役であるアイルランド系の白人の音楽と
そのアメリカへの移住についての過程も含めていると思ってみておりました。
貧乏でアメリカに望みをかけて移住してきたんですよね。
アイルランドに行くとそれが良く分かります。
また西部劇で使われる音楽はアイルランド系の音楽だということもそれらを裏付けます。


また彼らに居場所を失われたインディアンたちも
いまでは世界中で、持ち帰った宝物を本来の持ち主であるこれらの侵略を受けた民族の国に
返還されるという流れの中で1つの文化を作っていたし、
それらのものを奪われたという流れも裏に秘めております。
このいままさに
それらの反省から、奪略したものを返還するという世界の流れの中で
西部劇の時代をどうとらえるのかはすごく興味があります。

そういえば
蓮見重彦氏の「ジョン・フォード論」はおすすめです。サイトの宣伝になりますが
ここは分かりやすい
https://www.gqjapan.jp/culture/article/20220801-shiguehiko-hasumi-intv-1
今年出たばかりですよ、それも先月。ほやほやーーーホットな話題。

という気持ちで臨んだこの舞台。
感想はこんな予想を見事に覆されました。
いま日本のバレエ団の、特に女性ダンサーの見栄えの良いことと言ったら
驚きでした。舞台上できれいに揃っている。これが一番の驚きでした。
あとは表題であるようにシンフォニー。きちんと第4楽章までありました。
上記で書いた、アイルランド系の民謡のテイストは少し残しつつ
きれいにオーケストレーションされております。
それに衣装。男性は、らしい、、カーボーイ風の衣装なんですが、
女性は、普通のバレエの衣装よりですね。
これで何を表現したいんだ、バランシン。とはじめのころは思っていたし、個別に
ソロはさえているダンサーがいるなあ、とか思ってみておりましたが、
第4楽章:ロンド。まさに主題の展開において最後、カーテンが下りるまで続く踊り、
これには参りました。さすがです。
私はアメリカにおいて興行的に成功させる妥協のテーマだと思ってみていましたが、
そんなことはない、素晴らしいエンディングです。これって古典のバレエではないんですよ。
だからバランシンのやりたかったことがすごくわかった。
それを表現できた舞台だったと思います。NYシティバレエでもこのような演目を持ってくるとよいのに、とさえ思った。

本当に素晴らしかった。私は余韻を楽しんで休憩中席を立てなかったくらいです。この感動は久しぶりにバレエを見たためなのか、この公演がすごいのか?
自分の中で整理をするためです。
ここでいうのもなんですが
バレエの日本での状況で、男性のダンサーもう少し身長伸びないでしょうかねえ?これは女性ダンサーとの比較でも
すごく感じたことです。仕方ないのかもしれない。
それが今、ジェンダーレスな時代のバレエかも。

 

そして「緑のテーブル」
クルト・ヨース振付。
一応反戦のテーマ。この作品は素晴らしかった。
今、日本のバレエ団は
古典に縛られるのではなく、
現代バレエ。ダンスにどんどん積極的になるべき、と本当に思いました。

昔、カントルという人が劇団を率いて来日したのを観に行きましたが
ちょうど同じような印象を受けました。
カントルについてはこのサイトが詳しい。

ちょうどこの舞台を観ているかのようなシーンやポーズが出てきており、
懐かしさとともに、今目の前で繰り広げられているバレエについて
より深く洞察ができました。
また公演の前にこの演目についての解説があったのですが、
そこで説明されていたと思いますが、私はなんと忘れてしまった。
この音楽は、たぶん、振り付けに合わせて作られたと思えるくらいにきれいに振りと
音楽があっていた。
音楽はピアノ2台。あまりにもストーリーにあっているし踊りにあっていたので
暗転して、次に進むとき、
こんな感じで始まるだろうと自分なりに予想して聞いておりました。
まあ外れたのは最後「死」が中心に踊るシーンくらいでしたね。
あそこは明るい、夜明けのような音楽が流れると思ったのですが、
「死」でした。そこでハタ、と気が付く。この演目のテーマ。
だからこそ、途中の女性のドレスがきれいになびくし、きれいな踊りがつけられていた。
その否定。
そうなんだなあ、と思いながら、唸る自分がおりました。
うまい、そう思った。
そしてきれいにこの演目を表現できている、と思った。

ということで
今回のダブルビルは、今年の流れの一つに呼応しているというのが
すごくよくわかる。
だから今年、何回かこの演目が上演されているというのもわかる。

しかし私はダンサーに注目していきたい。そのくらいにきれいな舞台でした。