バイエルン放送響、ズービン・メータ指揮 AT ミューザ川崎

バイエルン放送響、ズービン・メータ指揮 AT ミューザ川崎
公式サイトはここ
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=659

ミューザの公演の公式サイトはここ
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/calendar/detail.php?id=2260&y=2018&m=11

この公演のツボは、メータ指揮のこのオケはたぶん二度とないということでしょうかね。

シューベルト:劇音楽「ロザムンデ」序曲 D.797

リズムのお披露目です。
本日はリズムの日。そんな感じがしました。この曲、リズムが良い。
また軽快な演奏でリラックスできます。
さあ、音楽会をやろう、楽しい音楽会を。
そう言っているような気がしました。
まずはオープニング。
そんな気持ち。

そして感じたのは、能力ある演奏者が、外さないことを条件として
自由に楽しく演奏することを許されたら?
そんな感じの楽しい演奏風景でした。観ても楽しかった。

シューベルト交響曲第3番 ニ長調 D.200

この曲をこのレベルの演奏で聞くことはもうないだろうな、というのが率直な感想。
「ロザムンデ」から人数が減っての交響曲は迫力がない。
しかし
メータはこの時代の音楽はこんなもの。
時代が変われば、ポリフォニーの複雑なリズムの曲も出てくるよ、とわざと提示して感がある。

楽章の間、咳のタイムもそこそこにしかなくすぐの演奏。これも好きでしたね。
間が開くのは良くない。

総論は「きれいでした」。
指揮は最低限だけど必要なものはすべて的確に出しておりました。この辺は好感が持てたところかもしれません。


ストラヴィンスキーバレエ音楽春の祭典
この曲はバレエリュス、特にニジンスキーを思い出す。そしてその衣装と振り付け、舞台装置が目の前に浮かぶのだ。

そして、本日は休憩の後ざわざわ感が切れていないときに突然とファゴットが鳴る。
指揮ではない。約束事でスタートを任されていたかのように。
そう、突然、大地への礼賛としての女の曲が来るのです。

そして春を謳歌する音

演奏は各パート全く狂いなし。ダイナミックこの上ない世界が広がり
異教の人たちの踊りも長老の行進から大地の踊りの迫力もすごい。
そして
生贄へと

ここでも乙女の踊りも目に浮かんでくる。

さらに生贄の踊りへとつながっていく。このダイナミズムは
最高でした。

私は基本的にニジンスキーを復活させた振り付けを頭に浮かべながら聞いておりましたが
ベジャールでもよいでしょう。

しかしバレエの公演でこれだけのオケはつかない。
最後の「生贄の踊り」のところのリズムは本当によいです。
ボレロ」と対極をなす。しかし踊りの振り付けは似ている。
生贄は踊りまくるのです。
この踊りの時のリズムがすごい。

この辺の指揮もさすがに体力的に弱っていても
的確に体を動かしていて指示しておりました。
ですから
ヤンソンスの元、練習はしてあると言え、
これはメータの「春の祭典」でしょう。
いつか、来れなかったヤンソンスの「春の祭典」も聞いてみたいです。

そして
たぶん
あれだけの演奏のあと、ヤンソンスならアンコールはなかったのではないでしょうか?

本当にすさまじい踊りの音楽でしたから。「踊り」「リズム」が
本日のキーワードかもしれない。

ところが、
各パートのメンバーを称賛しながらも
オケのメンバーを
川崎ミューザでは何というのか?いわゆる後ろの席に向けて立たせお辞儀させたのです。

そして拍手の中、一度も引き下がることなく
座り始めた。

まさか?アンコール?

チャイコフスキー」と客席に向けて声をかけて「白鳥の湖」の第1幕ワルツ。
これを
80名近くの一級のオケが奏でる。これは幸せそのもの。
まさに
ワガノワのマリインスキーが
公演を始める今週です。本家の来日に合わせたわけではないでしょうが
最高の、私にとってはプレゼントになりました。
会場も一体となって
エストロの退場を見送り、さらに一般参賀には車いすで応対。

ありがとう。メータ。最高だぜ
そして音楽って楽しいよね、と思わせてくれた。
さらに
古典バレエもいいもんだぜと言ってくれたような気もします。
アンチバレエリュス、アンチディアギレフというスタンスではなく
白鳥の湖」のワルツのシーンのように、友人と村人と和気あいあいに、音楽を。と
私は解釈しました。

公演自体がポリフォニーなのか?という冗談で感想とします