ウィーン国立歌劇場 「フィガロ」 AT 県民ホール

ウィーン国立歌劇場 「フィガロ」 AT 県民ホール
公式サイトはここ
http://www.wien2016.jp/figaro/

とにかくいつも違った顔を見せてくれながら
基本はきちんと押さえるという公演をすると思った。
私は、たしかここの「フィガロ」は4回目だと思うが
2回目の来日(確か1986とか1987年の時)の演出を除いて基本的に保守的な
演出だと思う。
しかし前回と今回も若干違う気がするんです。
それは歌手も違うから若干のニュアンスの差はあると思うんだが、
3幕の最後、私は個人的に結婚行進曲と呼んでいるんですが
あそこで、合唱隊が男女、そこそこの踊りを見せてくれた。
こういうシーンがあの2回目の時の、いまだに忘れられない
かっこよいダンスシーンを思い出させてくれるのです。
このように
ここの公演を体験するということは
思い出になるんだなあ、と思いました。
抽象的でしょうが、これが全て。

さてと
今回は
ムーティに舞台全体、音楽ともに支配されていたものでした。
歌手の指揮者に対する反応もすごかったが、あの指揮の振り方で
あの音を出すというオーケストラもすごい。
ムーティの指揮の振りはすごく抽象的な感じがしたんだが、、、。

こういうときって事前に音を作りこんでいるんでしょうねえ。
比較すると前回に比べて音はゆっくりして、タメが多かった。
前回はオーケストラ走りまくってましたからね。

なんでだろうと
思ったのですが、それは歌手が出来上がっているということでした。
穴なかったでしょう?
しいて言うならば「フィガロ」役が少し弱かった。

これくらいでしょう、ダメ出し。

タメが多い分、じっくりと聞かせてくれましたね。
さすが、ムーティ、オーケストラ、ソリストの皆さん、と言う感じでした。

個人的には
スザンナ役のソプラノが
太陽のように存在自体が明るくすごく陽気なオーラでメリハリをつけてくれて
とても良かった。スザンナに女を感じましたからねえ。オペラの歌手に女を感じるということはほとんどないんですけどねえ。

比較して言うと先ほどのフィガロには男根的なものは感じなかった。
比して伯爵の方が精力的ではなかったかな。
伯爵夫人も2幕のオープニングのあの陰影のなかでの美しさっていったら最高ですよ。あのシーンは最高だ。
ケルビーノも中性的というよりも
女してましたが、きれいに歌っていました。

とにかく要所要所がみんな決まっているので
飽きない。

何回来日しているのかわかりませんが
こんな本家の「フィガロ」まだ4回しか観ていないというのは
今後の楽しみです。きっと将来、今回の公演も
次回の「フィガロ」を観ながら思い出すんでしょうねえ。こうして思い出は積み重ねられていく、と言った
感じでしたよん。
各論なんていらない、これが「フィガロの結婚」。
また、
今回、全体的に、フォルクスオパーばりに陽気なんですが
あのテンポ、その中で舞台を覆う音楽、
そして特筆するべきハープシコード(言い方は違うかもしれないが)の演奏のすばらしさと
音の設定、当然オーケストラの一員ですから、オケを褒めるべきでしょうが
もうずば抜けてました。あんなにジャストの音の大きさできれいに決まると
すべてが映える。
だから楽しいけど、痴話げんかですが、文学に昇華されていた、という表現があうかな。
観るべきとは言わない、(高いから)
しかし、この良さを知っている人は観に来ていると思う。そんな舞台です。
ブラヴォー。。。。。