ハンブルグ・バレエ「リリオム」 AT 東京文化会館

ハンブルグ・バレエ「リリオム」 AT 東京文化会館
公式サイトはここ
http://www.nbs.or.jp/stages/2016/hamburg/liliom.html

音楽、ミシェル・ルグランなんですよ。
私は「シェルブール」と「ロシュフォール」は私の宝物です。

しかし、ストーリーは、実は映画も見ていないので
知りません。あえて予習はしないで出かけましたが
事前のノイマイヤーのトークであらかたわかりました。

そういえば、このトークセッション,
意外と収穫ありました。たとえば「能」のようにあの世とこの世のつながりの話とか
ミシェル・ルグランとの出会いとか
真夏の夜の夢」の音楽の使い方とか、、、。

話をバレエの感想に戻すと
舞台が始まってみると、背景の不景気な時代という、
その貧乏さが伝わってこないのです。なんというかなあ、全体的にかっこよいのですよ。
ノイマイヤー的キャラダンあるし(これ冗談)。
そして言うならば
ノイマイヤー的グランドドラマバレエと言う感じでしょうか。まさに
堂々と物語を進めるあたり、この表現がぴったりだと思います。

かっこよさと言えば、ダンサーの立場上(物語的に)
仕立ての安いスーツなんでしょうが、どうしようもなく、かっこよい。
だから、そのかっこよさに見とれている私は物語の本質を理解できなかったのでないかな?
そんな私の感想はどうでもいい感じです。まさにこの一言。
本当に細部まで作りこんだ、堂々とした舞台でした。
話の流れは、私個人的には、リリオムが死んでからはすんなりと入ってきたなあと思います。
なにかそこまでは、いろいろなことを表現していてどうも一つに集中できなかった。
そして最後には
子供のルイスに教えているリリオムがすごく愛おしい存在になっていた。そんな感じです。

この物語は、最終的には
悲劇なんでしょけど、なにか後味は悪くはなかった。
と言うよりも
音楽が最後にかけて
まさに回転木馬のように同じフレーズを繰り返して終わっていくところ
なにか物語をまた思い出すかのように心の中で感動を呼びました。

それまでのストーリーそのものと言うよりも、それまでの
男性ダンサーの群舞のかっこよさ、
遊園地の華やかさなどを楽しんだ自分を思い出したという感じです。
振付に関しては
難しいのよくやるなあ、と言うのが正直な感想です。
また舞台の奥行きをとるので
いろいろなところで踊りをセッティングされるから
観ている方は目の置き所が難しくなる。
しかし
それだけ、奥行きのあるバレエになっていたと思います。
プレトークで言っていたけど、この演目は
毎日が新しい発見があり、初日の感覚と言うのもわかる気がする。
本日はノイマイヤーは通路席で観ていたのですが
どう見えたんでしょうかねえ?
とにかくもノイマイヤーも
カーテンコールは最後にはノリノリになってくれた感じはします。

まあ、奥が深いということ(物理的のみならず)は
人生もいろいろあるということでもあるので
そこまで表現していたと私は解釈いたします。

さらに追加ですが
バンドを舞台奥の高い、バーのバルコニーみたいな設定の場所に置いたのはすごく雰囲気が良かった。
さらにあの感じの曲(ルグランのジャズ)を生バンドでバレエの舞台で観ることができたのは収穫かもしれない。
しかし
ミシェル・ルグラン、曲はいまいちでした。
ただ
ソプラノサックスだと思うんですが、楽器が特定できませんが
、それが奏でるフレーズは耳に残るものはありました。
私個人的勝手な妄想ですが、
本人の裁量で
最後の回転木馬の音楽に「シェルブールの雨傘」のテーマでも流れると
すごく舞台の後味が良くなったと思います。本人ですからできると思うんですけどねえ。

まあ、何を書いても
かっこよい。アンナ・ラウデールがきれいとか、
ちょい役ですがレヴァツォフの存在感とか
そんな感想になります。遊園地の客で
かなり日本人がいたけど
菅井円加は特定できなかった。オーラないのか?

そんな感想で、良かった、よかったという、いつものこととなります。
すみません単純で。
ただ、プレトークの司会者、良かったです。いい感じの話聞けました。
それをもとに
本公演を見たのですごくわかりやすかった。
そういえば
真夏の夜の夢メンデルスゾーンだけではなく
現代音楽も入るみたいです。リゲッティとかいう人。
私はあまりなじみがない。

しかし
なんというか
2度と見られない舞台なんだろうな、というのはすごく感じました。
パリオペラ座の「シンデレラ」のように。
持ってくるのめんどくさそうですから。