シュツットガルト・バレエ「オネーギン」 AT 東京文化会館

シュツットガルト・バレエ「オネーギン」 AT 東京文化会館
公式サイトはここ
http://www.nbs.or.jp/stages/2015/stuttgart/onegin.html
まあレンスキーとオネーギンの、ダンサーの見た目による立ち位置は
置いておいてということで。
キャストはここ
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-584.html
ロミオとジュリエットも出ます。笑

男のドラマです。第1幕は「男の夢」でしょうね。いや最後まで男の夢か。
特にラブレターをもらってからタチヤーナの寝室のシーンでの鏡から飛び出すシーンまで
男の夢のバレエなんでしょう。
またレンスキーとオリガの関係が、ダンサーとして、第2幕では、
胸キュンの恋人同士の「ロミオとジュリエット」と逆というのが皮肉なんでしょうねえ。
これもキャスティングの妙。
この二人のロミオとジュリエットを見ているものには、これまた、ロミオとジュリエットの続きなのか
と思えるくらいの皮肉です。
また第2幕での舞踏会のシーンはオネーギンは嫌な奴なんですが
オリガが一緒に踊るというのもねえ。それが度を越して、「なんだかなあ」と思ってしまった。
タチヤーナはまるっきりその気なし。舞踏にさえ加わっていない。ここ、すごく絵になりますねえ。
ロミオとジュリエット」ではこんなシーンで二人の出会いがあったんですねえ。
この2つの演目もすごく皮肉な組み合わせとしか言えないです。

さらに2場で決闘のシーンの前のレンスキーのソロ。魅力的です。オネーギンよりも良いかもしれない。美男子だし。
この1場の舞踏会のシーンの最後と、ここの2場での森のシーンでの
タチヤーナとオリガを含む、レンスキーの踊りは見ごたえがありました。

そのまま決闘に至り、第3幕。

ここの舞踏会のシーンはきついねえ。オネーギンはボロボロ。しかしここで終わっていない。
このドラマは男が作っているから、まだ終わらない。
タチヤーナの寝室まで、完全にストーカーと化したオネーギンは迫るねえ。
ここは最高のオネーギンとタチヤーナの踊りの見せ場でした。
いつまでも、心に残るラストのタチヤーナの後悔。
これって女性の作家だったら、振付師だったら完全にラストは違うだろうな、と思います。
「遅かった」なんて、感情はないよ、きっと。私は仕事柄観てきているのですが、
また、今リッチなら乗換てオネーギンはありかと思う。

そんな感じで、物語の語りになってしまいました。
しかし良い舞台でしたよ。幕が開くと
物語の進行に夢中になり
イライラ感が募りましたから(オネーギンはダメな男だもんね)。しかし最後感動させてくれたんですよね。ここでクランコがにやりと笑ったかな。
最後にオネーギンの物語が走馬灯のように映し出されるんですねえ。

良かったです。踊りに関しては、こじんまりした感はあるかな。音は全曲知っているわけではないからノーコメント。