パゴダの王子 AT 新国立劇場

パゴダの王子 AT 新国立劇場
特設サイトはここ
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/pagoda/
土曜日のソワレ、日曜日のマチネの感想。
まずはブリテンの音楽。慣れない人にはたぶんこの音楽が受け入れないで
この舞台をあまり楽しめないのではないでしょうか?
しかしよく聞いていると、とても工夫された音楽で
バレエの音楽として画期的な感じさえします。
とくにピアノやサックス、マリンバ(?)が入るとオーケストラの音は劇的に変
化しますね。まあバレエというとチャイコフスキーという方にはいまひとつ乗り
切れなかったと思います。また金管が2階(3階?)バルコニーで演奏されるの
で音が立体的に鳴ります。ですからすごく考えられた音楽だと思います。
このバレエを生のオーケストラで聞けるなんて幸せだと思うのですよ。
それを、ビントレー監督最後の公演ということで
ABCキャストそれぞれこなしていたのではないでしょうか?私はCキャストだ
け見ていないのですが、ビントレー監督以前の
全くプリンシパルが異なる時代から比較して(誰とはいいませんが)飛躍的に完
成されたバレエ団になったと思います。
また最終日、最後にビントレー監督が出てきたときの拍手、それは大きなもので
した。長々と続き、一定の人には好かれていたんだなあ、と改めて実感した次第
です。一定という言葉を使ったのは、最終日といえど
空席が目立ったからです。
私個人的には
この演目は
ブリテンの音楽を一番うまく解釈をした振り付けだと思いますし、
ビントレー監督が新国立劇場に残してくれた宝物であると同時にビントレー監督
の最高傑作だと思うのです。ブリテンの音楽をすごくわかりやすく物語仕立てに
まとめきっていると思いますし、出てくる人物像やキャラクターもすごく、日本
にインスパイアされたものだと思います。その中で
完成されたバレエ団メンバーが生き生きと踊っております。最後の締めとしては
最高の公演だったのではないでしょうか。特に千秋楽。あれは完成されている。
福岡さんがまたまた伸びているし、小野さんも安定している。湯川さんも適役。
言うことなし。
Bキャストも良かったです。しかしこれ以上はいうことはやめておこう。
ただ、客の入りからすると、今回の日程でわかるように、短期間集中、客の入り
関係なしで決行した感があるので、今後の再演はなかなか難しいのか、と思いま
す。ビントレー作品で、今後新しい体制の中で再演されやすいのはペンギンカフェ
だと思う。
「パゴダの王子」は最高傑作だと思いますが、興行的に厳しいかと思います。
ただ、最後の作品として、日本という環境の中で出来上がったこの作品で私自身
もこのバレエ団を見ることができて幸せでした。
今後は私も、直前になり、日程が合うとか、観たいとかいうものがあったときに
新国立バレエ団の公演に出かけることにします。まだオペラのほうはたまには行
くかな。何せ芸術監督が良いからなあ。
しかし基本的にこの公演と来期の「パルジファル」で新国立劇場へ出かけるのは
最後かな。さすがに今回も体力の衰えを感じましたし、
まあ、個人的なことですが、バレエ団には感謝いたします。そして今後のますま
すの発展をお祈り申し上げます。
個人的にはビントレー作品の公演では「ダイナミックダンス」が一番のお気に入
りです。いろいろと楽しい瞬間を思い出しますが、今後も観客を楽しませてくれ
ることでしょう。