シンフォニー・イン・3・ムーブメンツ AT 新国立劇場

シンフォニー・イン・3・ムーブメンツ AT 新国立劇場

特設サイトはここ
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/symphony/
ここにきて
ビントレージャパンの総仕上げに入ってきた感があります。
それほどまでに良い。
たぶん、この後、ビントレーの作品が続き
きっと感動のフィナーレとなっていくのでしょう。
私は「パゴダ」でビントレーに感謝の意味で
公演を見ようと思っております。しかし
バレエ団から
これが総決算です、と提示された感じです。

1.暗やみから解き放たれて
まずは世界初演のこの演目
新国立劇場のバレエ団の今の現状を
知っていて作ったという感じがします。
何が言いたいのかというと、
殻から抜けたことというべきしょうか。
タイトルも「暗やみから解き放たれて」と似ている概念です。
途中、舞台が奥と手前でカーテンで仕切られるのですが
そのカーテンの奥は、バレエのレッスンの世界だと思うんですよ。違うのかなあ?
そして、バレエって何?
踊るということは?どういうことか?
などという悩みが生じてくるのですが、そんな悩みから、踊ることの真の喜びを
発見するというような、というか、そうも取れるというような振り付けでした。
この振り付けのもと
バレエ団が有機的に繋がるので、観ていると生物のような感じがしました。この
生物が舞台上うごめいている感じが半端なかったです。または、人間の思考回路
とも、とれると思う、そんな、有機的結合をバレエ団に感じ取ることが出来まし
た。

2.大フーガ
フーガ形式がどうバレエに活かされるのか?
私は踊りだと思って初めのうち観ておりました。しかし
本当に最後の方にふと気がつきました。そして
もう一度はじめから観たい、と思ったけど遅かったです。何を気づいたかという
と、この演目って男女の関係なんですね。いわゆる、ある行為に応じるというこ
と。この行為の派生とその関係、
それが人間関係になぞられていると思ったのです。
音楽の途中、チェロとコントラバスの絡み合いがとてもきれいでした。
まさに低音のロマンチックな音楽、これが象徴となるともいえるロマンチックな
バレエなんでしょう。
この曲をオケの形式で聞くとなんだか不思議な気分にもなりましたが
とてもぜいたくな空間が出来上がります。音楽と踊りが対峙しているそんな舞台
でした。

3.シンフォニー・イン・3・ムーブメンツ
休憩のときにオーケストラピットから良い音が聞こえていたので
期待しましたが、その通り、ど迫力のストラヴィンスキー。中劇場で贅沢きわま
る時間でした。まさに良い音、良いダンスでした。
そして感じたのは、このような公演が出来るほどにこのバレエ団は進化したんだ
ということでした。
個別では福岡さんがこの数カ月でとても進化して良くなったことです。
この福岡さんや安定すると八幡さん、菅野さんなどとともに
女性陣がもともと安定しているのでとてもよい舞台に出来上がっておりました。
ただでさえ、名作のバランシンの作品はその、みんなの踊りとともに光り輝いて
おりました。
本当にバレエ団が
完成された瞬間という気がした
一日でした。皆様お疲れさまでした。そして、完成されてきた踊りすばらしいで
す。