ビントレー版「シルヴィア」 AT 新国立劇場

ビントレー版「シルヴィア」 AT 新国立劇場
特設サイトはここ
http://nnttballet.info/2012sylvia/
まず「シルヴィア」でアシュトン版が頭に浮かんだ人は
「ここはどこ、私は何を観ているの」状態になります。
まったくアシュトン版を忘れてください。
そうして、劇場で配る「ストーリー」表に目を通して
配役の確認を必ずしたほうが良いと思います。
ストーリーもひとひねりしてあるし、そのストーリーも
「すべてはもとのさや」のように少しシェイクスピア的展開をするので
逆に「シルヴィア」を知らない人のほうが楽しめるかもしれません。
私も慣れるのに時間がかかりました。
しかし、ドリーブの音楽は、当然そのままで、演奏も意外と安定していて(この
曲は音をはずしてほしくは無い曲です)素晴らしいバレエ音楽を表現していたの
で、そこを基準に紐解いてみていました。
そうすると意外と単純でわかりやすいものに感じました。とにかく音楽に忠実に
ビントレーは振り付けをしているのです。先ほどシェイクスピアを例に挙げまし
たが
同じくビントレーの振り付けにウィットを感じるのは私だけでしょうか?
コールドもすごくきれいに作られていて、また、ダンサーもそれをこなしている
のでとてもきれいです。これは一幕目からラストまで一貫した良さです。
あとは3幕目にシルヴィアとアミンタの見せ場がふんだんに盛り込まれてステー
ジ上の神話的大道具とともに華麗なるエンディングに向かって、とてもうまい舞
台になっていました。この作り方はうまい。最後に冒頭のシチュエーションに戻
るのです。ねえ、ユーモアのセンス抜群でしょう?
あと海賊に躍らせるところとか、ほかでも男性ダンサーの使い方もとても良かっ
たとおもいます。オカマもいたし。笑い
さてと
会場に目を移すと子供のお客様が多かったのですがビントレーの視点は子供がす
ごくわかりやすいのでしょうね。この日も子供たちには評判が良かったみたいで
す。私個人的には米沢さん、菅野さんのがんばりに拍手を送りたい。
しかしバレエ団全体にビントレーの味が浸透してきた
というのが本当の感想です。
最後に私の戸惑いは「オライオン」のこのバレエにおいての位置づけでしたが、
これが楽しいものになった理由でもあるのです。アシュトン版との違いを楽しむ
のもおつなもの。
このバレエ吉田都さんの初演の時、英国王室にダイアナはまだ生きてたのではな
いでしょうか?
その王室へのメッセージにもとれるエンディングですから。もしそうなら、ます
ます、イギリス人のジョークにはまりましたな。