ピーター・グライムズ AT 新国立劇場

ピーター・グライムズ AT 新国立劇場
公式サイトはここ
http://www.atre.jp/12grimes/
実にすばらしい公演でした。
この舞台はオペラとしてみるよりも
現代劇としての方が「受け」が良いと思います。
ですからすべての舞台関係者に観てもらいたい舞台です。
そのくらい、このプロダクションは作りこまれている。近年まれにみる素晴らし
さではないでしょうか?
しかし休憩時の、ホワイエでの感想はさほどではなかったので
「芝居好き」に受ける内容だったのかもしれません。
どこが良いのかと言うと
「村」社会の中で主人公が孤立していく様が
サイコホラーと言っても良い感じで描かれておりました。
また、ブリテンの付けている音楽と言ったら、最高です。
いやーー食わず嫌いというものがあるならば、まさにそれでした。
「ブリテン」のオペラなんて、、、と思っておりましたから。。。
そして、英語が言語で、この主人公の孤立感が
ピンクフロイドの「THE WALL」なみに聞こえてきました。英語がオペラの言語
と言うと
雰囲気がすごく変わる。これがとても、ポップな感じでした。
そして村人の楽しみやコンセンサスを彩る時の音楽のリズムやメロディーは踊る
ようでした。
それに比較して、主人公とエレンについている音楽は、特に主人公についている
音楽は
愛に満ちておりましたね。ここがブリテンとテノールの同性愛的関係が濃く反映
されたところだと思います。
当然、彼が歌うことを前提に作っただけあって、きれいなんですよね。そこにブ
リテンの愛を感じました。
大体のいきさつは上のリンクを観てください。
さらに
指揮者のアームストロング。素晴らしい。彼はこのオペラを知っている。たぶん
スコアだけ観た、このオペラを理解していない指揮者ではあの指揮はできなかっ
たと思う。このプロダクションの中においてあの音楽はドンピシャ、最高の効果
があった。さらには
芝居のごとく演じきる、ソリスト、合唱隊、完璧なるプロダクションにおいて、
こう演じればよい、というのが明確になっている分、演じやすかったと思います。
そのくらい、劇としてみると素晴らしかった。本当に素晴らしかったです。
カントールや寺山が作りそうな舞台ですし、採用しそうな音楽です。どちらかと
言うと、旧前衛舞台が好きな人にはたまらないと思います。